演劇創造都市札幌プロジェクト 札幌の演劇人との座談会 vol.2

演劇創造都市札幌プロジェクトは、2021年12月14日に座談会を開催しました。感染症拡大の影響で、なかなか対面しての会議を開催するのが難しい状況ではありましたが、インターネットを介したリモートミーティング形式での座談会を行いました。

札幌演劇シーズン2021夏の活動報告と現場の声を聞くこと、そして私たちプロジェクトのメンバーが感じていることを演劇シーズンに参加した演劇人に聞いてもらうことを主な目的として、第二回のゲストには、札幌演劇シーズン2021夏に参加した5団体のうち、「きまぐれポニーテール」、「もえぎ色」、「イレブンナイン」、3団体の代表をお招きして開催しました。14日の参加が難しかった2団体、「のと☆えれき」をプロデュースしたラボチの小室明子さんと、「劇団words of hearts」の町田誠也さんには、12日に事前にお話を聞かせていただき、座談会に反映させていただきました。

私達のプロジェクトの提案により2012年にスタートし、2022年で10周年を迎える札幌演劇シーズン。すっかり札幌の街に定着してきたようにも見えますが、いくつか課題も見えて来ています。演劇シーズンに参加した演劇人の皆さんの肉声を聞かせていただくことで、今後のプロジェクトでの議論の参考にさせて頂き、私たちプロジェクトの想いを、演劇人の皆さんにも聞いていただければと思います。

日時 12月14日(火) 15時~16時半
参加者 ゲスト
寺地ユイ(きまぐれポニーテール)、光耀萌希(もえぎ色)、納谷真大(ELEVEN NINES)
プロジェクトメンバー
蔵隆司、秋山孝二、右谷誠、飯塚優子、閔鎭京、斎藤ちず、林亮一、藤村智子、高堂理、平田修二、小島達子、斎藤歩

斎藤 お集まり頂き有難うございます。イレブンナインの納谷さん、きまぐれポニーテールの寺地さん、もえぎ色のもえぎさん。で、他にお二方、のと☆えれきで参加してくれたプロデューサーの小室さん、それとwords of heartsで参加してくれた町田誠也くん。この二人が今日はちょっと都合が悪くなっちゃって、実はプロジェクト事務局長の小島さんと僕と、4人でZoomを繋いで聞き取りを行いました。そういったことも後々紹介したりしながら、皆さんの話を聞かせていただきたいと思います。

ーここでプロジェクトのメンバーの紹介が行われ、座談会が始まりました。

斎藤 まずは寺地さん、演劇シーズンに参加していかがでしたか?

寺地 コロナ禍で演劇活動が滞り、何をしてよいか分からず一人で考えてばかりいたけど、演劇シーズンに背中を押してもらい、公演を打つことができました。演劇シーズンの存在は心強かったです「きまぐれポニーテール」は私ひとりのユニットなので、単独では公演を打とうと思えなかったけれど、今回演劇シーズンというきっかけがあって、本当に心強く思って参加できました。

斎藤 そう言っていただけると良かったなと思うんですけど、文句あったらちゃんと言っていいからね。別に怒ったりしないから。

寺地 よろしくお願いします

斎藤 もえぎさん、あんたのとこ一番大変だったんじゃないか。

もえぎ はい、本当に禿げるんじゃないかと思いながらやっておりました。うちの中からコロナの感染者が出てしまい。丁度、私たちとは会わなかったので、公演自体止めずに、代役を立ててなんとかやりきることができたのは、本当に良かったなと思います。

斎藤 あの先生、その後体調は大丈夫?

もえぎ はい、もう元気になって、すごい悔しがって泣いておりましたけれども。 私も、寺地さんが言ったみたいに2020年は公演をやろうと思ってたんですけど、うちは大所帯だったり、子供と一緒にやっている団体なので、ちょっと公演には踏み切ることができなかったんですけども、演劇シーズンさんの方で「やるよ」って言ってくれたので、覚悟を決めよう、と。だけど、コロナ禍でもいかに「もえぎ色らしさ」を出せるようにやるかが私たちの目標だったので。結果、私たちも、お客さんも一緒に楽しんでもらえたという声を聞けたのは、本当に今回やりきれて良かったなと思っております。目標の集客人数まで全然届かず、1000人ちょっとだったのが申し訳ないなと、力不足だなと感じておりますが、今後もまた頑張ります。

斎藤 納谷さん、いかがでしたか、コンカリーニョでやって。

納谷 僕たち久しぶりの演劇シーズンだったんですけど。去年は演劇シーズン以外にも、コンカリーニョさんでやらせてもらって、一年前よりも今年の方が明らかに、コンカリーニョさんと我々の連動もコロナにシフトされてるし、劇場入りしてからは、ちゃんと劇場さんがきっちりやってくれてたので、コロナのストレスみたいなものは去年よりはあまり感じなかったです。ただ、集客の点では間違いなくコロナの影響を受けています。演劇シーズンで劇場費のバックアップなどもあったにも関わらず、恐らく赤字の公演になってしまったことは、正直絶望的でした。けっこう途方に暮れました。

斎藤 ありがとうございます。町田くんと小室さんに日曜日ヒアリングしたときに、赤字ってどれくらいの赤字なの?って聞いたんです。で、小室さんは最初から「コロナ禍でやる」って肚だったんだよね。あそこは二人芝居じゃない。すごく装置も簡素で。客席を半分に減らしてもなんとかトントンにならねぇかなっていう目論見を最初から立ててたらしくて。で、予想した通りのお客が入ってくれたと。半分に減らした客席でほぼ満席という日が続いたんですよね。その結果、収支としてはほぼ目論見通り、トントンで済んだという話でした。で、町田くんがかなり深刻だったね、聞いたら。平均すると30人ちょっとしかコンカリーニョなのに入らなかった。500人入らないと大変だなあと思ってたところが、350人くらいだったんで、やっぱり40~50万の赤字だったらしい。だから、「それ町田くんどうしたの?」って聞いたら、「僕が払いました」って。50万くらい個人で負担しなきゃいけなかった、っていうふうに言ってましたね。だから、500人入ってトントンかなと思ってたところが・・500人でも少ないんだけどね、演劇シーズンをコンカリーニョでやったんだとしたら。1000人ぐらいだいたい入れてるからね、いつも。決して町田の力不足だけじゃなくて、この状況ってのもやっぱり大きかったんじゃないかな。町田くんの実感としては、「感染者数がぐっと増える前に、やり逃げられた」って印象らしいです。それでもやっぱり伸びなかった。で、やっぱり、50万円ぐらいの負担を僕個人がしてます、っていうお話でした。まあちょっとお金の話からで申し訳ないんだけれども、寺地さんところはどんな仕上がりでした?

寺地 私たちのところは400人ぴったりで、これ関係者込みの人数なので、実際のお客様でお金を払って来てくださった方は多分350ぐらいなんですけど。BLOCHで客席数も少ないですし、狭いので、「他の大きな劇場なら行ったけどBLOCHだからちょっと怖い」っていう、参加者の御両親が「いつもだったら見に行くんだけど配信はないの?」みたいな感じだったりとかしたので。結構まあ予想通りと言うか。400入れたかったなっていうのがあったので。本当は、「BLOCHでギチギチじゃん、すげー」みたいな感じになりたかったんですけど。まあ、400入ってくれて良かったって言う感じでした。採算に関しては、照明とか音響も、過去に大きめの助成金がバンっていただけた時とかに、「今後、もしかしたら本当にお金ない時に破格で頼むかもしれない」みたいなこと話してる、お友達みたいなスタッフがすごく多かったので、全然いいことではないんですけど、そんなに赤字にはならなかったかな。映像を収録して編集してもらったりとかっていうところで結構お金がかかってきてて、それが配信の売上とは合わなかったので、そのぶんの出費と変わったんですけど、今後DVDにしたりとかできるのかなっていうのがあるので、そこはあまり赤字になったなあという実感はないですね。ただまあ、先ほど納谷さんもおっしゃってましたけど、演劇シーズンに参加してもこんなに苦しい感じというか。演劇シーズンって、参加したら、普段自分たちで公演打つよりは少し気持ちも楽というか、経済的に余裕があるなという印象だったんですけど。こんなに演劇シーズンでカツカツで、大変だ~みたいな気持ちになるとは思ってなかったですね。それはもう何が悪いとかじゃなくて、コロナの影響だと。

斎藤 スタッフ達に泣いてもらうのは、本来シーズンでじゃないんだよね。

寺地 そうなんですよ。だから先ほど言ってた、演劇シーズンの「100人活躍できて食える役者とか演劇関係者をつくろう」っていう趣旨からは、外れてしまうので。私はプロデュースっていう立ち位置も兼ねているので、BLOCHで400人の動員でできる公演をもっと考えるべきだったのか、それとも演劇シーズンで自分がやりたいものを優先して皆に泣いてもらってっていうのが果たして良かったのか、っていうことに関しては、今後もちょっと課題かなと思っています。

斎藤 ありがとうございます。納谷さんはいかがでしたか。

納谷 僕たちは想定してたより人が来なかったんだと思うんですね。まさにその、マックスの時期だったので。結局お客様たちが劇場に足を運ぶということへの不安があったんだろうなと思って。プロデューサーの小島さんと「こんなに入らないもんかね」と。割と顕著にそれが出た。客席がいっぱいだった回が少なかったような記憶があって。結局は、来てもらえないんだなっていうのが、なんとなくの実感だったです。

斎藤 今回予算的には損益分岐点てのは何人ぐらいで見込んでいて、今回実際何人ぐらいだった?

小島 客席数的に、入るのが1072人だったんですよね。その中でも70%とかにはせねばならず、最終集客数は892人でした。招待(無料)も結構ありましたし、赤字というか、カンパニーの皆さんに少しずつ勉強してもらったという形ですね。経済的なこともありますが、1000人入れられなかったというのが、我々的には結構厳しかったです。シーズンでこれかと。イレブンナインは、団員達にもチケット頑張って売ろうっていうことを共有する劇団なんですけど、あまりにも伸びなくて、一度皆で集まって「なぜ伸びないのか」を話し合ったこともありました。やはり「今回はやめとくわ」というお客さんがやっぱり多くて、手売りを強みにしていたのにそれ自体苦しくなったり。あとは、いつもは本番入ってから100人くらい伸びたりするんですけど、今回はそこまででもなく、いつものパターンで追い上げができず・・。でもそれはもしかしたら、コロナのせいのみならず劇団自体の力が落ちてきているのかもしれないね、って話もしたりして。今後の課題はまだまだ多いと感じました。

斎藤 もえぎさんはどうでした?最初ね、3000人ぐらい入れようかって話してたよね。まだコロナ前だったね。結局直前になって、どのぐらいの仕上がりだといいと思う?って聞いたら、1200人くらいって言ってたっけ。

もえぎ そうですね。12ステージあったので、1ステージ100人の計算では入れたいっていう思いがありましたね。

斎藤 かでるは、200人くらい入れられるような状態にしてたんだっけ。

もえぎ そうです。最終的に1050人いかなかったぐらいです。

斎藤 惜しかったね、1200って目標立てて。後半で一応修正したんだけどね。かなり頑張ったなと思うんだけど。

もえぎ 協賛の方々もすごい応援してくださって。全部で70万くらいまでいったんですが、協賛の方が逆に、「コロナ禍だから応援はするよ」でお金は出してくれてるんですけど、来なかったんですよね、全然。そこで300人ぐらい来る予定だったのが、20人くらいかな、結局予想通りの赤字。始まる時も覚悟はしてたので。前回の演劇シーズンに参加させてもらってコンカリーニョでやった時も、もちろん赤字で。去年演劇をできなかった分、貯蓄をしてたんですね。演劇シーズンで、ある程度・・200万ぐらい赤字になるんじゃないかなと思いながらやってたんですけど。結果100万くらいの赤字で済んで。そのスタッフさん達とも最初に言ってた金額もちろん払えてるし、客演さんにももちろん払い。私の場合は、半分見栄なのかもしれないですけども、「ごめんなさい今回」っていうのではなく、最初に言ってた金額を全部お支払いさせていただくパターンで。客演さんも「何枚以上売ったらいくらバックしますね」みたいなお約束をさせて頂いてたのも、もちろん払いましたし、っていう。その代わり、また何かあった時よろしくお願いします、と、それはもう皆さん同じだと思いますけど。それでも、もえぎ色のミュージカルをやるっていう上で、生バンドも入ってますし、オリジナルの曲だし、スタッフさんも照明とかも散々やってもらっていて、この額は破格なはずだって言うのを一番最初からお願いしていたので。せめてもの、これだけは納めさせて頂きます、みたいな気持ちでやらせてもらいました。でも、うちの劇団員は赤字だと思ってると思いますが、まあ皆が「楽しかったし、またこれからも頑張りたい」って思ってくれた状態。チケットもみんなの全力で売ってくれてるのは見ててわかったし。いつもだったら100枚以上売ってるメンバーが、今回も必死で打っても40枚~50枚しか売れなかったのも見ていると、早くみんなが全力でお客さん呼べる世の中になるといいねとしか

斎藤 100万くらいの赤字ってのは、どういうふうに負担するの?もえぎちゃん個人で負担するの?

もえぎ そうです、そうです。個人というか、もえぎ色のためにやっているCOLOREっていう任意団体があって。そっちの方で外注で受けてる仕事が年間通してずっとあるので、私はそれを劇団の為に貯めておくお金に、と思ってやっているので。そのお金があったり。

斎藤 とりあえず経済のこと、あとやった感想、中身として・集団としてどうだったかみたいな話が聞けたと思うんですけど。以上を聞いた段階で、プロジェクトのメンバーの皆さんから何か感想ありますか?平田さん、いかがですか?

平田 大変だよね。長い目で見るしかもうしょうがないんだけれど。僕は10年前の東北の震災の時もZOOでずっと一ヶ月公演してたから、こういうことも直面したんだけど。その時、大変なんだけど、その後必ず劇場に人が戻ってくるという、そういう根拠がないのかあるのか分かんないけど、今どうやって乗り切っていくかだよね。あんまり足掻いてもしょうがないもんね。

斎藤 高堂さん、いかがですか、事務局長。

高堂 大変だったっていうのは分かりました。ちょっとこれ情報なんですけど、他の業界ってどうなってるかってこないだ聞いたのはあるんで、お知らせしますと、例えばね、二期会っていうオペラの、ありますよね?年1回ぐらい大きい公演があって。4~5千万ぐらいかかるんですかね、一回に。まあ規模にもよるんですけれども。それで、どういうことしてるかっていうと、いろんな補助金も当然あるし、偉い人たちも色々いるので、こう引いていって、最後に残るものは、入場券っていう形で、出演する役者さんとスタッフに割り振られる。だから、主役クラスになると、150万円ぐらい券を売らなきゃいけない。で、それが売れないから溜まっていって、二期会さんに対しての借金という形で残ってる。さる有名な声楽の人は、400万くらいあるって言うんだよね、二期会さんに対して。まあ、そういうふうにしてやっている。で、「演劇の人たちは、まあいいよね」っていうような言い方もしてるんですよ。それはどういうことかって言うと、声楽の人達ってなかなか他の仕事ができにくいような状態になっていて。つまりそうやってる事によって、その人のバリューが下がるっていうのかな。すごく厳しいっていうか辛いことをしてる、みたいなことを聞きました。別に皆さんを慰めるようなつもりで言ってるんじゃなくて、いろんな人がいろんなことを言っているなと。あと、ジャズとか音楽の人達は、今いろんな補助金があって、それを縦横斜めに使いながらなんとか凌いでいるって感じで。ライブハウスに行くと、本当にお客さんが少ないので、凌いでいるっていう感じなんですが。これもどっちかってと言うと、ITに強い人勝ち。それから、先に申し込んだ人勝ち、みたいな所があって。今、2~3回目の補助が始まっていくんだけど、その辺の不公平感をどうしたらいいかみたいな…演劇にもたくさん補助あると思いますけど…その辺がちょっと課題になっているっていうような感じなんですね。でも、やっぱ面白かったよね。劇場行くと。本当にこれを続けなきゃね、これをしなきゃねっていうことですよね。で、一つだけ。演劇シーズンはずっとコロナ禍にあって、実は一回も中止してないので。最初の頃のはのピリピリ感って言ったら本当になくて。街の中もね、あのデパート閉まってた頃っていうのは、歩くと感染するつもりでいたような感じだったけど、世の中だいぶ本当に、斎藤さんおっしゃったように、社会的にこのウイルスを受け止めるって言うのかな、そういう風になってきてて、これからだと思いますよ。シーズンでさえ赤字になるようだと本当に大変なことだと思うんで。答えがなくて本当に申し訳ないんだけど、もうちょっと知恵を絞って公演ができるような日常っていうのを作っていけないかなと思ってます。

斎藤 ありがとうございました。

林 高堂さん、まだ演劇シーズン冬もあるんですけども、札幌市の反応っていうか評価っていうか感想っていうのはどんな感じなんすですか。

高堂 僕の感触では「よくやってくれますね」っていう感じかな、一言で言うと。だから全然悪くないです。悪くないどころか、対策なんかも「そこまでやってくれるんですか」っていうようなニュアンスですけど。

斎藤 最初はドキドキして見てたんですよね。当時の川上文化局長から直々のお手紙が各カンパニーに届いたりとか。なんとか感染者を出さないで終わらせてほしい、っていう感じだったんですけど。感染症対策みたいなものは、市の方も、演劇側の取り組みを信用し始めている。実績も積んできた。昔ほど心配をしていない、って言う感じですね。こっちの方が心配してるんじゃないかっていう

林 コロナ以前の、集客数マストっていう財務部みたいな圧力っていうのは、今後は多少変わっていく可能性はあるのかな?

斎藤 今非常時なんですよね。平時じゃないんで、だから、これが平時に戻るとまたどうなるか、っていうことだと思うんですよね。ただ、演劇が実に真面目に取り組んでるっていう印象は、だいぶいってるような気がします。前、こんなに信用してくれてなかったですからね。

ちず みんな。配信では稼いでないの?特にイレブンナインとか、有料配信やれば相当アレなんじゃないかと思うんだけど。

斎藤 配信の事をまず町田くん、小室さんに聞いたところ、それぞれやってました。やった結果、やっぱり配信にかかった費用分の集金しかできてないね。一時みんな配信、配信って色んなこと工夫したんだけど、売れる映像を作るには、それだけの費用がかかる。売れたとしても、売れる映像を作るために編集力にかけた予算分が、ギリギリ配信したことによって帰ってくるっていうぐらい。ただ、小室さんなんかは、「今後DVD販売でも収益が上げられると思うので」とは言っていたけれども。町田くんも、「非常に助かったけれども、配信にかけた費用ぶんぐらいの集金しかできなかったかな」ってことを。お二方はおっしゃってました。納谷さんとかはいかがですか?やったんだっけ?

納谷 やってないです。僕たちは去年コンカリさんでやったやつで、ある程度お金をかけて有料配信したんですけど、当時、ほとんどみんな無料で配信して見せていた時に、僕たちはお金をもらって有料配信をしたことで、赤字になったんですよ。40万かなんか、20万かな。それで怖くて、今回はもうやらないって決めて。

ちず 私、上手いことやったなと思ったんだよね。最後もう満杯で入れませんみたいなって、何日か後に配信って言って。「達子さん、上手いことやったな、さすが」と思ってたんだけど

納谷 もう全然

小島 前回やった時は、カメラを台数入れてクオリティを結構。で、うちの芝居って人数も多くて、カメラが1台では…コンカリさんも広いので。1カメ、2カメでは賄いきれないぐらいになってくるので、単純に撮影費がけっこうかかりまして。視聴者数が78だったんですよね。今回、町田くんや小室さんは50くらいだったと言ってたので、比べると視聴者数はあったんですけど。採算的には、クオリティを求めた果てなのか赤字になり。それが怖くて今回はやりませんでした。

斎藤 寺地さんは?

寺地 きまぐれポニーテールも、今回はカメラを入れて。それでも結構安く売ってもらったんですけど、撮影して編集したもの配信したんですが。うちは、お金をかけないがために、「編集の期間長くても大丈夫です」って先に言ってしまったですよ。シーズンの映像配信に関して私がちゃんと確認をしてなかったので、配信できる期間が、2週間あったかなーぐらいしかなくて。告知が大っぴらに打てなかったというか、「本当に見たい人だけ見てください、ごめんなさい」って感じで出しちゃったので、本当に少なかったです。30いってないぐらいなので。撮影費の方が全然かかったんですけど。ただ、きまぐれポニーテールのお客様は、手元に物を置いておきたいタイプの方がすごく多いので、DVDにして何とかなったらいいなって思ってます。

斎藤 もえぎちゃんは?

もえぎ うちは…配信、なんと12しか売れなかったですよ。今皆さんの聞いて「マジか」って思って。すごい衝撃を受けましたけど。一応DVDにいつもしていたので、配信だから特別にお金がかかったというよりは、いつもどおりかかって。今後もDVDとしてちょこちょこ売れてったらいいなっていう感じで。

林 配信までの撮影費とか編集費とかって、だいたいどのくらい皆さん経費かけてんの?

斎藤 どのぐらい皆さんかけてます?林さん映像を作る会社のプロなんで、すごく関心おありだと思うんですけど。びっくりするぐらい皆安く撮ってます。例えば達子、前、コンカリーニョでやったやつ撮ったよね。その、何カメかでお金かけたっていうのは、カメラ何台でいくら?編集も込みで。

小島 3台で、40万くらいかな。安い?

斎藤 林さんの会社なら無理でしょ?

 いや、わかんないよ。ただもし、劇団ごとににそれぞれ頼んで金額の差があるんだったら、演劇シーズンでまとめてどっか頼んで安くしてもらった方が、ひょっとしたら経費かかんないのかもしれないよ?

斎藤 それは去年の冬シーズンにやったんだよね。順番に撮って、まとめることで少し安くしてもらおう、と。ただ、それぞれ劇団もノウハウを持ち始めていて、劇団の知り合いの中にカメラ持ってる人がいて、編集の心得もある人がいたりする所が増えてくると、結構安くやってる。15~16万で、2カメでとか。劇団の中にそういうことできる奴が現れ始めてるんですよね。ただまだクオリティはかなり低いですよ、でも。そういう人を育て始めている劇団もあります。飯塚さん、ここまで聞いていかがですか。

飯塚 本当に皆、大変な思いをしてきたんだなってのを、改めて伺って思いました。遠くから見てると、「演劇シーズンやるんだ、この状況でも」っていう風に、思いがけないっていう風に受け止める人も結構いて。それが、間接的ですけどね、色んな人に元気を届けているんだなーって感じはします。あと、感染対策のガイドラインのようなもの、最大限の厳しいラインを、シーズンが維持してるっていう感じがあって。結局、そこをモデルにしながら皆があちこちでそれをやってるっていう。だから、それはとっても大きなことだなって。演劇シーズンではこうやってるねっていうことを、その場その場でちょっとずつアレンジしながらやってるなーっていう感じはするので。この2つが…コロナ禍でも演劇シーズンはやり続けてるっていうことと、それに対してできることをガイドラインとして示してるっていうことで、それがすごく大きなことだなっていうふうに感じています。

斎藤 全国のネットワークなんかで会議をすると、「よくやってるね札幌は」って言われるんですけど。感染者を出さずになんとかやれてる実績は積んで来てるんで、やってよかった。ただそれには、やっぱり参加してくれた皆さんの苦労がその背景にはあるんだなーってことを、皆さんおわかりいただけたんじゃないかなと思いますけど。藤村さん、いかがでしたか?

藤村 皆さん、大変な思いをされて作品を作っているのだということは分かってはいるつもりでしたがやはりこういう風に、実際に経済的な問題が後に残っていくのですね。納谷さんがかつて4000人の集客をしたことがありましたよね。あの時本当に色んなところにセールスに行きました。人に会ったり、企業訪問したり、その結果が、4000人に繋がった訳です。しかし今年は、集客も含めてそういう動きはできませんでしたが、良い作品をどんな中でも創り続けるということを、演劇をやる皆さんは果たそうとしているのだなと思いました。それと感染症対策。あれは本当に定着しましたね。今回TGRをやってみても、どの劇場もみんな本当にしっかりと感染症対策をしておりました。それが、結果的に無事に終わることができたということなのだと思いますね。ですから、一つの札幌方式というのか札幌はこういうやり方をしますよ、というようなことを示せていけたらいいなと思います。本当に皆さんありがとうございました。

斎藤 閔さん、アンケートも集計してくださったりしたんですけど、そういうことも含めて何かありますか?

閔 皆さん本当にお疲れさまでした。実態を聞かせていただきまして、大変参考になりました。去年からアンケートを取らせていただいているんですけれども、お客さんがですね、観劇する前は非常に不安が高くて、実際観てみるととても良かったっていう反応が多かったので、少しずつお客さんが戻ってきてるなというふうには思うんですけれども、まだまだちょっと遠い感じはしています。で、私はですね、今日実は皆さんの話を聞いてて、かなり衝撃を受けまして。ここまで赤字を抱えていらっしゃったということが分からなかったっていうのがあるんですね。恐らくこれは札幌市も知らないことでありまして、やはりこういうことを、「ここまで補助金をもらってやっても、ここまで今赤字を抱えている」っていうことを、もっと可視化して、数字で出しながら、札幌市とちゃんと話すべきなのかなっていう風には思ったりしました。私がもしできることがあれば、その辺の資料を提供していただいて、今後、やはりこういう実態があってこそ、演劇シーズンが続けてきているというのがありますので。なぜ演劇人だけがこういう犠牲をしながら続けないといけないのか、ということは、私としてもすごく疑問を感じていますので、今後何かお手伝いできることがあれば協力させていただけたらなという風に思います。今日は本当に実態を教えていただきましてありがとうございました。

斎藤 秋山さん何かここまでお聞きになって何かありますか?

秋山 そうですね。担ってる側が、稽古から始まって拘束時間その他から考えると、大変な時間を費やしてますよね。それに対して、ただ感動したとかお疲れさまって言うだけでは、全く応援にならないんだなっていうのを改めて感ずるっていうことが一つと。10年間こういう演劇シーズンっていう装置がありながら、これはやっぱり、行政の単年度の補助金の制度の弊害というか、例えば財団運営なんかでも、助成金でやってるっていうことは、どうしても単年度決算ベースの話で、資産的な蓄積っていうことをやっちゃいかんっていう雰囲気が醸し出されてるんだよね、運営として。劇団うんぬんじゃなくて、財団運営とかプロジェクト運営の中で。だから企業系だと、例えば、いい時は次への事業準備金とかって、更に先のために違うポケットにお金を溜めておくっていう仕組みがあるんだけども、「その年の収入はその年で終わる、赤は赤で何とか補填する」っていう。だから協賛企業の応援の仕方っていうことについても、お金を協賛金で出すとかチケットで…足を運ぶっていうことは勿論なんだけども、もう少し何かもっと桁の違うお金を投入していかないと、劇団員の方達のこの辺の苦しさっていうのは、ビジネスモデル的になかなか難しいだろうな、と。このビジネスモデルを支援するためには、協賛制度みたいなものを作らないと可哀想だよね、こんだけ準備して、やって…っていう感じなんですよね。だから、感動して「本当にお疲れさま」っていうだけでも、ちょっと申し訳ないなっていう。なんか前回も同じようなことを言った感じがするんだけども。そんな気がします。だから、応援の仕方を何か提起するのと、蓄積をどうやって作っていくかっていうことを考えたいなって思いますよね。

斎藤 ありがとうございます。ちょっとプロジェクトで考えなきゃいけないですね。ちずさん、いかがですか?

ちず 演劇シーズンに参加すると、色々ある助成の、他のが使えないじゃないですか。それが赤字になる原因の一つでもあろうし。今、子供のいる家庭に給付金出るんだよね?だから、それに似たような形で月次支援金とか、売り上げ額をコロナ前と比較して50%以下だったらいくら、みたいな支援金があるんだけど。多分劇団のみんなはもらえてないんじゃないか。そういうのが使えているのか。閔さん辺りにアンケート取ってもらって、「コロナ禍で公演をやりました、いくら赤字でした」みたいなのをアンケート取ってもらって、札幌市で、それこそ給付金みたいな、支えてくれてありがとうみたいな、いくらか出してもらうような制度って作ってもらえないのかなっていうのを、今、閔さんの話を聞いてて思ったな。赤字補填給付金みたいな、緊急的なやつを…どういう制度設計にしたらいいのか分かんないけど、それは何となく札幌市の人が趣旨を理解してくれたら、札幌市の人だって多分考えてくれると思うんだけど。

斎藤 客席制限が徐々に緩みつつあるというか。この間、例えば納谷さんなんかは、シアターZOOで90席のところを80パーセントかな、70席ちょいっていうのが満員になったりもしてたけど。お客さんは戻りつつあるって実感はあります?

納谷 ものすごく大事な時に差し掛かっていると思うんですよね。今、戻りつつある時のやり方が、何かやらかしてしまうと、「やっぱり」ってなった時の逆ぶりは大きいと思うので。もっとここから増やしていこうっていう時に来てるので。ここからなんだなとは思います。今までよりも引き締めて、より対策してますよっていうことで、安心安全の状況を観客に与えなきゃ。ここで油断してやらかしてしまうと、本当に戻らなくなってしまうんじゃないかなというような恐怖はあるので。

斎藤 蔵さん、今日お聞きになっていかがですか、代表。

 おじさんおばさんって言うよりも、おじいさんおばあさんの世代だけどね、僕らはね。でも、本当に深刻な状況にあることをね、改めて。で、現場の方がこれだけきちっと赤裸々にお話してくださったってことは、すごく大事なことだと思うね。どうしても我々応援団の間では、大変だろうということは想像はできてても、やっぱり改めて現場の人たちからそういう実態を聞くと、本当に対抗策を何か考えなきゃいけないという気持ちにはなる。で、まあ僕が思っているのは、やっぱり・・これはもう本当にね、芸術を支える基盤っていうのは、やっぱり圧倒的に弱いっていうことですよね。それは文化庁にしても札幌市にしても、色々頑張ってはくれているんだろうけども、やはり基本的なところで対策を考えていかないと、結局はやっぱり右往左往してしまうことが続くんじゃないかいう風に思うんですよ。だから、今、行政とか協賛団体も、少しは気持ちを引き締めて助けてくれるとは思うけども、ここ20年ぐらいかな?2000年ぐらいを境にして、芸術支援は全然伸びてないです。そんな伸びてないところにコロナがきてしまった。コロナっていうのは、ある意味じゃ第二次大戦以来の大変な状況ですよね。それぐらいの時代的な難しいところに入ってきている。基盤のないところに、こんな状況に入ってきたら、もうめちゃくちゃですよね。でもやっぱりね、文化や芸術に対する必要性、助けなきゃいけないっていうことは、ムード的には出てきている。でもやっぱり基盤が非常に浅いから、何をどうしていいか分かんないっていうような状況が続いているんだと思う。さっき納谷さんの話してたようなことも僕は深刻に受け止めているし、それに対する秋山さんなんかのご意見も非常に大事な点をついているから、そこのところを僕らは今、深く考えていかなきゃいけないなという風に思ってるんですよ。この状況下で、もう20年間、全然助成も伸びてないんだよね。部分的に今、助けてくれているような雰囲気にあるように思うかもしれないけど、総額的には全然、芸術に対する支援対策っていうのは伸びてない。この間もメルケル首相がコロナになって、まず芸術家を助けよう、と、そういう話あったんだけど。そういう機運が、残念ながら、まだまだ日本では目の前に現れてない。そこのところへの対策っていうのは、地道に、基本原則に戻って今の芸術に対する支援体制がどうあるべきなのかっていうところを考えないと、僕は解決しないと思うんだ。幸い役者さん達もこういうような発言をしてくれるような時代になったし、我々おじいちゃんおばあちゃんになっちゃったけども、あとひと頑張りして、この支援体制の作り方について基本的なところから、どういう風に手をつけていけばいいか、行政に対してどういう風な対応をしていけばいいか、企業の皆さんにどんな協力してもらったらいいか、役者さん達・劇団もどういう自己努力をしなきゃいけないか、ってことを基本に戻って話し合うっていうところにやっぱり戻るかな。そんな感想を持って今日聞いてました。でもまあ、僕も老いの一徹でもう少し頑張りたいなという風に思ってるんで、手伝えるようなきっかけがもっともっと欲しいとは思ってます。

斎藤 ありがとうございます。林さん、いかがですか?

林 いやもう本当に皆さん言ってるけど、こんなに苦労してやってるっていうのは凄いなと思ったんですけども。演劇シーズンの、10日間公演10作品っていう基本的なレベルがあるじゃないですか。それをこのコロナ禍でやるのは本当に皆さん大変だったんだろうなと思うんだけども、そこら辺はもう、今後もコロナ続いてもこれでやっていくっていう話なんですね?

斎藤 その辺ね、検討していかなきゃいけないな、と。事業部会でも話し始めてはいるんですけれども。この間、町田くんや小室さんに聞いた感想では、まず3000円っていうチケット料金の一律条件、この辺に手を付けないと演劇シーズンのクオリティを担保できないんじゃないかっていう意見もありました。札幌座の場合、もう3000円じゃ出品できないので、シーズンの方にはエントリーしてないんですよね。例えばこの間の「ひかりごけ」、3800円でやった、あれをシーズンでやってくれとなると、いややってもいいけど3000円じゃあなあ、っていうことになってくるんじゃないかな。でも最初3000円にするとき結構もめたんでしょ?3000円じゃ高いっていう空気があったと聞いていますが

 あの当時はね。10年前。

斎藤 そういうことも今後、事業部会で話さなきゃいけないし、プロジェクトでも色んなアイデアを出してシーズンに反映させた方がいいかな、とか思ってます。平田さんはどうお感じになります?今後のシーズンの基本的な枠組みなんですけれども。

平田 3000円は、僕はもうちょっと時代に合わないと思ってます。3000円に決めた時っていうのは、初め何シーズンかは、ずっとコンカリとZOOだけでやってたんだよね。それが今のように広がって。二つ問題が出てきた。作る作品によってかかるお金が大きく変わるという風になったのが一つと、さっき誰か言ったけれど補助金を取りにくいんだよね。例えば文化庁の補助金とか、そういうのが僕も札幌座にいた時、そういうのすごく苦労して色々やったんだけれど。今はもう制度設計を変えないと…という風に思います。ここまでが感想なんだけど。、今 Go to Eat とか Go to Travel ってやってるじゃないですか。Go to Artみたいなことやってくれって提案できないですかね。Go to Eat とか Go to Travel っていうのは、利用する方への支援なんだよね。今の演劇なんかは作り手の支援で、それはいいんですよ、それで今問題が色々あるってこともわかったんだけれど、それだけじゃなくて利用する側・観客側への支援のシステムっていうのはね、そっちもあって、Go to Artだから演劇だけじゃない、劇場だけじゃないんだけれど、そういうところへ行くことに支援するんだっていうことは、ちょっといいような気がするといいと思う。

ちず すごい良いと思う。札幌市に持ち掛けて、全国に先駆けて札幌でやりませんかって言ったら乗らないかな。国でもやったらいいのにね。やれる方向性は多分持ってると思うけどなあ。

 一つね。劇団が、前年度の収入に対してこのコロナの中でどれだけ収入が少なくなったか、経営がどれだけ苦しくなったかって、そういうの数字が作れるんじゃないかと思うんだ。各芸術団体が、こんなに売り上げが減ったんだよ、ということを出して申請するっていうことをみんなで広めて、お互いに助け合うということを…それは当面の応急対策として絶対やった方がいいと思う。

斎藤 色んなアイデアがね必要ですよね、乗り切るためには。ただ乗り切った後のことをちゃんと見据えた方がいいかなと思っていて。この間小室さんから、全部話終わった後メールをもらって、これもぜひ言っておきたかったっていう一言があるのが、今プログラムディレクター制で、僕今プログラムディレクターなってもう一年半とか経つんですけれども、一応5年任期ってことを謳ってるんですよね。で、『ぜひ5年で変えてほしい。ずるずると歩さんのままいくのは、良くない。次のプログラムディレクターに明確にバトンを渡すってことが、演劇シーズンにとって凄く大事なんじゃないか』って。それは僕も本当その通りだと思っていて、ちょうどコロナ禍で僕はプログラムディレクターって立場になったので、あんまりやりたいこともできてないんですけれども。やっぱり演劇シーズンっていうものがプログラムディレクター制っていうのを一歩進んでやった以上、それは明確に次の人に渡るべきじゃないかなっていうのを、小室さんにも言われたんですけれども、そういうことがご意見としてありました。参加してくださった皆さん。演劇シーズンに対して、「もっとこうだったらいいな」ってことを一言、二言。時間もそろそろあれなので、そろそろまとめたいと思うんですけれども。どんなことでもいいんで、何か演劇シーズンもちょっとこうだったらいいなとか、こういうことが素敵でしたねとか、あったら一言ずついただけますか。納谷さんからいかがですか。

納谷 我々は演技シーズンにお世話になってきて、しばらく間が空いて今回参加させてもらって、今、来年に向けても色んなことが動いている中で、やっぱり進化していく過程だとは思うので、支えられてることも分かっているので、僕は面白いものを作りますから、それをよりたくさんの方に観てもらえるような環境を、演劇シーズンの方々と一緒に作っていけたらなって思うことだけですね。

斎藤 来年の夏に「12人の怒れる男」の再演が決まってて、発表もされてるんですけれども。安心して「12人~」に取り組めるように我々プロジェクトとしても支援いたしますので、是非いい作品を作ってください。

納谷 はい、札幌の演劇は凄いと言われるようにですね、本当にそれのために尽力していきたいと思います。

斎藤 もえぎさん、いかがですか?

もえぎ サポートスタッフの太田真介が、作品作りに専念できるように、っていうことで一生懸命シーズン側と劇場側との間に入ってくれていたので、それはすごく心強かったです。やっぱミュージカルで生演奏までいくと難しいんだなっていうのは、ちょっと自分たちの反省もありながら

斎藤 でも、やりたいことをやってくれて良かったと思うよ、俺は。

もえぎ めっちゃやりました、すいません。

斎藤 よく頑張ったと思う。

もえぎ その言葉が聞けたらもう大満足。

斎藤 寺地さんはいかがですか。

寺地 はい。まず、みんなが演劇活動をどうやってやっていこうってオロオロになってた時に、「演劇シーズンにきまぐれポニーテールが参加するんだけど手伝ってくれないか」っていう話をした時に、「自分の団体では動けないけどと是非」っていう、パーソンズの畠山だったりとか、ボイジャーの前田くんだったりとか、色んな劇団の座長クラスの人たちがたくさん手伝ってくれたんですよ。そういうきっかけになれた、きっかけをいただけたっていうことに関しては有り難かったし、みんななかなか動けない中で、どうやろうって若手たちがたくさんいる中で、良かったなという風に思ってます。ただ、やるのかな?やらないのかな?やるのかな?って思ってたら、「やります、来週写真撮ります」みたいな感じでスタートしてしまったので、事前に、やりますよっていう、やるつもりでいるからねっていうのがあるとありがたかったです。多分やるぞっていう気持ちではいたと思うんですけど、コロナの状況とかもあったので、本当にやるのかな?動き出していいのかな?ってやってる間に始まっちゃった感が結構あって、オロオロしながら準備したっていうのがありました。あと、作り手の支援はもちろんなんですけど、観る側のお客様を劇場に戻していくっていう話。やっぱりコロナで怖いから行かないっていうのだけじゃなくって、もう家が快適になっちゃった方とかもたくさんいらっしゃると思うんですよね。劇場に行ったら楽しいんだけど、行くまでの腰がすごく重い、みたいな方もいらっしゃると思うので、さっきのGo to Artの支援のような、観たい人がそういうのを利用するっていうっていうサービスとかがあればすごくいいのかなっていうのは、私も思いました。助成金とか支援金に関しては、「こんなのあるよ、やったか?」みたいな感じで声をかけてくださる方とか、そういう講習みたいなものをもしやっていただけたら嬉しいです。教えてくださる方がいたら是非教えてほしいですという気持ちがあります。シーズンの制作だけでも、金額の規模が私にしてはすごい大きいんですよ。劇団をやってまだ3~4年とかなので。大きな金額でバンって申請を出すとかっていうのが慣れてないんだな、っていうのを凄く感じていて。書類一つ書くのも一苦労だみたいな感じなので。強い制作さんとか劇場の方とかに力を借りれたら嬉しいです、という気持ちはあります。あとは体感なんですけど、チケットの価格がもう3000円じゃ安い、っておっしゃってたじゃないですか。作り手側の方も、以前は「ギャラあったらいいな」みたいな感じで参加したり、一緒に作ったりしてたけど、それがシーズンでお金をもらって制作をしている団体が増えてきたことによって、「もらえるものはもらわなきゃ」って思ってる創作者達が増えているんだなっていうのはすごく感じていて。それは、皆さんがたくさん色々やってくださったおかげだなとも思っているし、シーズンに参加した時のこの感覚っていうのを、もっと若い子たちとか、同世代よりも下の子たちにもたくさん体感させたいし、そのためにどういうものを作っていかなきゃいけないのかなっていうことに関しては、向き合っていきたいなと思います。あとは、他団体と帯同したいっていうのをすごく今回感じて。自分たちの団体で忙しくなっちゃったり、自分たちの団体の興業を成功させようってなりがちなんですけど。せっかく5団体いたから、もっとお祭りらしくというか、できたら良かったかなという気持ちは少しあります。私は全部見に行かせていただいたんですけど、なんかもっと感想を書いたりとか、凄い面白かったって、もっともっと大きな声で書けば良かったなって思いますし、なんかそういう連動が取れたら良かったなと思うし。札幌の演劇コミュニティってそんなに広くないと思うので。色んな団体、上下縦横のラインっていうのが繋がっていけたらいいな、と思う気持ちが私にはあります。今回こういう機会をいただいて、皆さんとこうやって、ZOOMですけど顔を合わせてお話を聞けたりとか、こういう方々が関わってたんだなって…2018年にもお会いはしてるんですけど。こういう風に面と向かって、こういう人達がこういう思いでこういう風に演劇を盛り上げようとしているっていうことを、シーズンの前に体感しておきたかったっていうのがちょっとあって。ちゃんとバックアップしてくれてる人がいて、応援している人がいるよっていうこととかを、事前にこういう会でひと声掛けてもらう機会があったら、私ももっと自分の団体で参加してくれた人に伝えてあげられたなって思いました。歩さんとはたくさんお話しさせてもらって、最初に出させてもらうってなった時にお話ししたことを出来るだけメンバーにもお伝えはしたんですけど。その以外にもこんないっぱいいらっしゃるっていうことを、知らない人がうちの団体にはめちゃくちゃ多いので。改めてこれから会う子達には伝えていきたいなと思いますし、機会がありましたら是非という気持ちです。

斎藤 ありがとうございました。こういうおじさんおばさん達なんでね、あんまり広報が上手じゃなくてですね。あのホームページっていうのをやってるんですけど、あんまり頻繁に更新されてなかったり、あまり発信ができてないっていう反省点があって。是非ね、こういうプロジェクトに若い人たちがどんどん関わってきてくれるといいなっていうことを思っていますので。今後も寺地さんとか、もえぎさんとか、もちろん納谷さんも、プロジェクトで色々声掛けたり相談したりしたいと思いますので、その時にはぜひお力を貸してください。お力と知恵を貸していただければと思います。今日は一時間ぐらいの予定だったんですけど、一時間半っていうことになってしまって。皆さんすいません、進行が悪くて。ただまあ、皆さんから溢れんばかりの思いが聞けたんじゃないかなって気はしてますんで。納谷さん、何か言い残したことないですか?

納谷 大丈夫です。これからもよろしくお願いします。

斎藤 本当に今日は長い時間ありがとうございました。プロジェクトの皆さんよろしいでしょうか。これで終わりにしたいと思います。本当にありがとうございました。

一同 ありがとうございました。

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